アメリカ留学、小説家の教授と人生について語った話
御機嫌よう。
人生を劇的に変化させるような経験なんて、そうそう存在していないと私は思っている。
高校時代、南米に一年間留学した時も、
人生の意味を見つけたり、夢を見つけたりすることなんてなかった。
日々の小さい経験、出会いの積み重ねが、私を少しだけ成長させてくれた。
常に頭のどこかにある経験。
胸の中に生きている、言葉や出会い。
数十年後も今日あったことを思い出しそうなので。
忘れないうちに綴っておこうと思う。
白髪ロングヘア―という理由だけで履修してみた
アメリカ留学中ということで、普段日本の大学では履修出来ないライティングの授業をとってみました。
担当の教授は小説家兼、大学教授です。
履修を迷っていたのですが、白髪のロングヘア―で優しそう…という不純な動機で授業登録してみました。
生徒が持っている題材を、さまざまな授業内で行われるワークショップを通じて最大限引き出してくれます。
「面白くないエッセイは皆も書きたくないと思うし、私も読みたくない。」
そんな言葉に教授の授業スタイルが表れているような気もします。
ワークショップを通じて、自分でも気が付いていなかったような題材を沢山手に入れられるので、「さぁエッセイを書いて下さい」と言われた時、ゼロから始めるのではなく、目の前には豊富な材料が揃っています。そのため書くのが楽しい。
教授も、生徒のエッセイを読むのを楽しみにしているよう。そこから、自身の小説の題材とかも得ているのかなと考えたり。
とにかく、やる気のない生徒からも尊敬されるような、楽し気な教授です。
オフィスが異空間すぎる。ここはどこ。
エッセイについて質問があったら、いつでもオフィスに来て良いと言われていたので行ってみました。
実は、エッセイはほとんど完成していて、特に質問もなかったのですが、
「何か先生と面白い話が出来るのでは…? したい…」教授の人生に興味がある」
と思い、オフィスを訪ねてみました。
教授のオフィスは、異空間でした。
部屋に案内された瞬間から驚きました。暖色のライト、アンティーク調の家具、本棚には無数の本、子供の写真や、先生が若かりしき頃の写真等々。
教授が授業中、生徒が作業している合間をぬって、オフィスに何かをしに行っている理由が分かりました。
少しでも長く居たくなる空間でした。
教授から思いがけない質問
淡々とエッセイについてのコメントをいただき、
「ああ、やっぱり先生の人生について聞くなんて出来ないかな…。」
と思っていたところ、教授から
「君の人生の計画はどんな感じ?何か案あるの?」と聞かれました。
やっぱり、小説家だからそういうお話を聞くことに興味があるのかと嬉しくなりました。
移民政策の研究をこれからも続けていきたい。
言語を学ぶことにも興味がある。
書くことも好き。
社会に少しでも役立つような研究をして、論文を書きたい、
でも、自分の胸の内を自由に表現もしたい。
これも好き、あれも好き。
これもしたい、あれもしたい。
そんな言葉が素直に自分の口から出てきて驚きました。
またそれと同時に、それが出来るような気がしてなりませんでした。
そして、目の前にいる教授から、将来の自分がわずかに見えた気がしました。
何だろう、凄く良い時間だった。彼ががどう思ったかは分からないけど、私はこの日のことを時より思い出すと確信しています。
視野を広く、柔軟に…
ここ数年研究者になるとか、お堅い(?)ことばかり考えていました。
教授とのお話、授業を通じて、職業名にとらわれず、様々なことを人生の中で出来る可能性がそこらじゅうに落ちているんだなと思いました。
壁に飾られた、家族写真の中の教授はとても若くて
活力に満ち溢れていて、まっすぐで素敵な青年だった。
短い会話かもしれないけど、久しぶりに自分がやりたいことについて素直、何にも縛られず話せたと思う。
そして凄く嬉しく、優しい経験、時間だった。何でだろう。
私がクラスにいることに感謝してるとも言ってくれた。
世界は広くて狭い。そして意外と簡単で面白いのかもしれない。
こんな会話、いつぶりだろう。